ホワイト拡散ガラスの理解
ある媒質からもう一つの媒質に光が伝搬する場合、全てのエネルギーをエネルギー保存の法則で説明することができます。系の全エネルギーは、透過・反射・吸収・散乱の4つの要素に分けることができます。これらのパラメータ全4要素は、材料化学と表面仕上げの働きによるものです。これらの1つまたは複数のパラメータが受け持つエネルギーを最大にするか最小にするかで、異なるタイプの光学部品が作られます。ミラーの場合、反射特性を最大化させるのに対し、透過・吸収・散乱特性は最小化する方向に持っていきます。レンズの場合は透過特性を最大化させ、散乱・反射・吸収特性は最小化する方向にします。ホワイト拡散ガラスの場合は、散乱特性を最大化させ、ディフューザーの板厚を調整することで吸収や透過特性を適度なバランスにしています。
ホワイト拡散ガラスは、光を散乱させるのにチンダル効果を利用するコロイド状材料です。チンダル散乱の場合、散乱の一因になる粒子の大きさを散乱させたい光の波長とおおよそ同じにする必要があります。よって、材料散乱 (白い不透明体に見える) を目視できるならば、その粒子の大きさは、可視光の波長とおおよそ同じであるに違いありません。入射光の波長が大きくなると、散乱光の強度は減少しますが、その分透過する光の強度は大きくなります。研磨加工したホワイト拡散ガラスを透過する1064nmのビームをFigure 1に示します。画像にあるホットスポットから、1064nmの一部の光が拡散しないで透過していることが見て取れます。なおホワイト拡散ガラスは、可視域内の波長では十分に拡散します。
可視とそれ以上の長さの波長を持つ光を効果的に拡散するディフューザーを作るには、波長依存性の異なる第二の散乱メカニズムを単純に加えることでそれを実現することができます。
Figure 1: 研磨加工したホワイト拡散ガラスで散乱する1064nm ビームの様子
Figure 2: 砂面加工したホワイト拡散ガラスで散乱する1064nm ビームの様子
幾何学的な散乱は、散乱する光が光の波長よりも遥かに大きい時に起こります。簡単に言えば、光学面の法線に対して方向がランダムに変化する幾何学面に光を照射すると、その光は面に沿った角度でランダムに屈折します。これはすりガラスタイプの拡散板と同じメカニズムです。コロイド状材料に表面処理加工した面を加えると、広い波長域にわたり効果的に機能するディフューザーとなります。Figure 2は、ホワイト拡散ガラスの表裏二面を砂面加工した広帯域ハイブリッドディフューザーに1064nmのビームを伝搬させた時のものです。複数の散乱メカニズムによって、ホットスポットの量が軽減されていることが見て取れます。
エネルギー透過以外の3つのパラメータは、光学系の性能を最大化させるために考慮しておかなければなりません。ホワイト拡散ガラスの場合、透過と吸収のバランスを取るために材料を1.25mmの板厚になるよう研磨加工しています。ホワイト拡散ガラスは、どんなアプリケーションの性能要件にも適合させるため、異なる板厚にして研磨加工することができます。Figure 3は、様々な板厚に研磨加工したホワイト拡散ガラスの分光透過率特性です。
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