光学部品の洗浄
光学素子の購入後、同素子を適切に取り扱うことは、その品質を維持して製品寿命を延ばすことに繋がります。適切な洗浄製品を選び、適切な洗浄方法を選択することは、部品自体を洗浄するのと同じくらいに重要です。不適切な洗浄を行ってしまうと、レンズやミラー、フィルター、グレーティングなどの研磨面や特殊コーティング面に損傷を与えてしまい、大抵のアプリケーションにおいて性能低下を引き起こします。あまねく通用する洗浄方法は存在しませんが、洗浄を始めるためのいくつかのヒントを紹介します。特殊なオプティクスや素材、コーティングやアプリケーションについては、お勧めの洗浄方法を当社にお問い合わせください。なお、光学部品を洗浄する際は、着用の衣服や作業環境にも注意を払う必要があります。例えば、ジッパーやボタンの付いたシャツは、洗浄対象の光学部品を誤って傷つけてしまう恐れがあります。汚れていたり、埃の多い環境は、光学アプリケーションには不向きです。
洗浄製品
洗浄対象の光学部品の種類及びケアしたい内容 (洗浄対象面に付いた埃から汚れの除去まで)に応じて、様々な洗浄製品と洗浄方法が用いられます。長い製品寿命を確実にするために、ピックアップツール、ツィザー (ピンセット)、グローブ、圧縮エア、綿棒、レンズティッシュ、レンズクリーナー、試薬用のイソプロピルアルコールやアセトン液, そして純水が用いられます。洗浄製品の各タイプには、それぞれ独自のメリットがあります: ピックアップツールやツィザーは、洗浄作業中に光学部品を保持するのに役立ちます。グローブの着用は、あなたの手の水分や油が光学部品に付着することを防ぎます。また圧縮エアは、光学部品のコーティング面に付着した表面上の埃を効果的に取り除き、綿棒やレンズティッシュは、光学部品を傷付けることなく汚れを拭き取る効果的な手段となります。レンズクリーナーや試薬用のイソプロピルアルコールやアセトン液及び純水は、光学部品を安全に洗浄します。
強調したい重要なポイントとして、樹脂製の光学部品や樹脂製のハウジングを採用した光学部品にアセトン液を用いては絶対にいけないということです。樹脂に損傷を与える可能性があります。そのため、樹脂製オプティクスを綺麗にしたい場合は、圧縮エア、試薬用のアルコール或いは純水をご使用ください。洗浄対象のオプティクスの基板材料やコーティングがどんな材料で出来ているのか不明な場合は、純水と少量の食器洗い洗剤の組み合わせが、刺激の強い化学物質によって光学部品に損傷を与えずに洗浄する最も安全な方法となります。
一般的な洗浄方法
Lenses
埃は最も共通的なコンタミですが、圧縮エアを用いることで大抵は取り除くことができます。更なる洗浄が必要な場合、レンズをレンズティッシュ越しに保持し、試薬用のイソプロピルアルコールかアセトン液、或いはレンズクリーニング溶液を数滴垂らします。レンズの中心部を加圧しながらレンズをゆっくりと回し、徐々にレンズの外側に向けて加圧地点を変えてレンズ表面の汚れを外側に向けて取り除いていきます。この時、汚れをレンズ全体に散らばらせてはいけません。コート付きレンズに付いた指紋は、光学部品にしみや損傷を与えないためにも、可能な限り早くに洗浄しなければなりません。より大きな汚れ粒子が付着している場合は、レンズティッシュを用いて光学部品を洗浄するよりも先に、ダストフリーの圧縮エアを用いて取り除いておく必要があります。これを行わずにクロスを用いていきなり取り除こうとすると、綺麗にしようとしている面を逆に傷付けてしまうことにもなります。これでもレンズがまだ汚れている場合、例えば油がまだ残っている場合は、マイルドな石鹸溶液でレンズをやさしく洗う方法もあります。拭きムラや石鹸溶液の残留物を取り除きたい場合、試薬用のイソプロピルアルコールやアセトン液を用いて繰り返しこの手順を行い、洗浄対象面を綺麗にしていきます。
ミラー
汚れや埃を圧縮エアで吹き飛ばした後、洗浄ドラッグ法を用いてミラー面上に付着した指紋や他のコンタミを取り除いていきます。ドラッグ法では、試薬用のイソプロピルアルコールやアセトン液に浸したレンズティッシュで対象面全体にわたりゆっくりと引いて (ドラッグして)いきます。適切に行われると、溶剤が均等に蒸発し、拭きムラやスポットが発生しません。なお保護膜が施されていない、ベアな金属膜コーティングはとてもデリケートなため、この方法で洗浄することはできません。汚れや指紋の付着は、ベアな金属膜付きミラーに半永久的なダメージを与えてしまうため、コーティングの寿命を長くするためにも、それらの付着自体を事前に妨げることを考えていかなければなりません。
フィルター
フィルターは、レンズやミラーに用いたのと同じ方法を用いて洗浄することができます。埃を除去する際は、圧縮エアやエアブロワーの使用が好まれます。更なる洗浄が必要な場合、試薬用のイソプロピルアルコールやアセトン液、或いはレンズクリーニング溶液を浸した綿棒やレンズティッシュを同様に用います。
グレーティング
回折格子の構造から、圧縮エアやエアブロワーを用いて表面に付着した埃を取り除くのが唯一推奨できる洗浄方法です。グレーティング面に直接触れるいかなる洗浄方法も避けなければなりません。超音波洗浄も、グレーティング面がガラス基板から分離してしまう恐れがあることから、行われるべきではありません。
補足: グレーティングの項で触れた諸注意事項は、長い製品寿命の点から、ワイヤーグリッド偏光板にも同様に適用されます。
マイクロオプティクス
マイクロオプティクスは、試薬用のイソプロピルアルコールやアセトン液を用いて同様に洗浄できますが、その非常に小さいサイズから、取り扱いとケアに特別な注意を払う必要があります。例えばマイクロレンズは、3mm径よりも小さいレンズであることが一般的です。マイクロオプティクスをつまむ際は、バンブーツィザーやプラスティックツィザーといったデリケートなピンセットを用いてその端部を保持するか、真空ポンプ式のピックアップツールを使用します。
全ての光学部品を取り扱い、良い状態に保つための6つのヒント
- 常にグローブや指サックを着用する。指先の油脂が光学部品のコーティングに損傷を与えたり、指紋が長い間光学面に付着したままになっていると、半永久的なしみになってしまうことがあります。
- 光学部品の端部を常につまむ。グローブを着用している場合でも、指先で光学面に触れることは避けなければなりません。
- 光学部品を金属製のツールでつかまない。木製や竹製、或いは樹脂製のツールで光学部品をつまむことで、損傷になる機会を低減することができます。真空式のピンセットは、小径オプティクスを取り扱う際にとても便利です。
- 光学部品、特に光学面が凸面の場合、常にソフトできれいな面上に置くこと。硬いテーブル面上に置いてしまうと、面内にキズを与えてしまう恐れがあります。
- 光学部品を保管する際は、清潔なリントフリーのレンズティッシュ で個々に包装し、湿度の低い場所で保管すること。光学部品を包装しないままで格納箱やレンズバッグ内に保管すると、光学面がそれと接触することで損傷してしまう恐れがあります。重い物質を上に置いて保管してもいけません。
- 光学面に息を吹きかけないこと。また、唾液による汚染を防ぐため、光学部品を取り扱う際にはガムをかんだりおしゃべりをしないようにしましょう。唾液の粒は光学面のしみとなることもあります。
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