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解像力
Edmund Optics Inc.

解像力

著者: Gregory Hollows, Nicholas James

本ページはイメージングリソースガイドセクション2.2です

解像力は、物体のディテール (細部)を再現するイメージングシステムの能力を表すスペックで、その特性は、使用する光の種類やセンサーのピクセルサイズ、レンズの能力といったファクターに左右されます。再現したい物体のディテールが小さくなればなるほど、必要とする解像力性能はより高くなっていきます。

観察している物体のサイズをセンサーの水平或いは垂直方向の画素数で割ることで、センサー1画素当たりがどの程度の大きさの物体部分に相当するかを特定でき、解像力を予測することができます。しかしながら、このことが、その画素上の情報が他の画素上の情報から区別できているわけでないことに留意する必要があります。

始めに、システムの解像力を実際に制限するものが何であるかを理解することが重要です。Figure 1に白い背景上に一対の黒い正方形を配置した例を紹介します。この2個の黒い正方形がカメラセンサー上の隣り合う画素上で結像してしまう場合 (図(a)の状態)、モニター画面上では一つの大きな長方形の状態で表示されるはずです。図(b)のような2個の分離した正方形の状態では表示されません。2個の正方形を区別して表示できるようにするためには、黒の正方形間にある量の白スペース (少なくともセンサー1画素分のスペース)が必要になります。この時の正方形間の最小間隔が、システムの限界解像度になります。解像力の絶対的限界は、センサー上の画素サイズと画素数によって定義されます。

Resolving two squares. If the space between the squares is too small (a) the camera sensor will be unable to resolve them as separate objects.
Figure 1: 2つの正方形の解像: 正方形間の間隔が小さすぎる場合 ((a)のケース)、カメラセンサーはそれらを独立した物体として解像することはできない

ラインペアとセンサーの限界

解像力は寸法としてたびたび報告されます。レンズやシステムによって解像可能な最小サイズとされる解像力の概念は、解像力の完全な表現とは言えません。解像力は1mm当たりのラインペア数$ \left[ \small{\tfrac{\text{本}}{\text{mm}}} \right] $で測定される空間周波数でその大きさがより正確に表されます。1ラインペアとは、物空間における黒と白の正方形一対分です。レンズの解像力は残念ながら厳密ではありません。所定の解像力で2つの正方形を独立した存在として映すことができるかは、そのグレースケールレベルに依存します。黒と白の正方形間のグレースケールの差が大きくなるほど、システムは1ラインペアをより簡単に解像することができます (Figure 1b)。グレースケールの差は、コントラストとも表現できます。このように、解像力は特定コントラスト条件を実現する$ \left[ \small{\tfrac{\text{本}}{\text{mm}}} \right] $を単位とした空間周波数によって定義されます。

コントラスト条件は、レンズメーカーやカメラメーカー毎の慣習で設定されますが、レンズの場合は20%で規定されることが多いです。このことから、解像力を$ \left[ \small{\tfrac{\text{本}}{\text{mm}}} \right] $を用いて計算することは、レンズ間の比較や特定のセンサーおよびアプリケーションに向けベストな選定を行う上で極めて有益となります。(コントラストはこちらで詳細を解説しています)

センサーは、システム解像力の計算を開始する上での出発点になります。センサーから始めることで、センサーや他のアプリケーション要件に対応するのに必要なレンズの性能を決定することが容易になります。センサーで解像可能な最大周波数、即ちナイキスト周波数は、2画素分ないしは1ラインペアに相当します。市販のセンサーに見られる画素サイズとナイキスト周波数の関連をTable 1に示します。センサーの解像力 $ \left( \xi _{\small{\text{Sensor}}} \right) $、即ちシステムの像空間解像力 $ \left( \xi _{\small{\text{Image Space}}} \right) $ は、マイクロメートルの単位で通常表される画素サイズ (s) を2倍 (一対を形成するため) し、µm から mm に単位変換するために1000をそれで割ることで求められます:

(1)$$ \xi _{\small{\text{Sensor}}} = \xi _{\small{\text{Image Space}}} = \left( \frac{1 \text{ 本}}{2 \times s} \right) \times \left( \frac{1000  \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}}{1 \text{mm}} \right) $$
(1)
$$ \xi _{\small{\text{Sensor}}} = \xi _{\small{\text{Image Space}}} = \left( \frac{1 \text{ 本}}{2 \times s} \right) \times \left( \frac{1000  \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}}{1 \text{mm}} \right) $$

画素サイズの大きなセンサーほど、限界解像力は低くなります。反対に、画素サイズの小さなセンサーほど、限界解像力は高くなります。この情報を用いて必要となるレンズ性能をどのようにして決定していくかは、レンズからセンサーへ: 情報を集めることの限界に解説しています。観察対象の物体上の限界解像度は、センサーサイズや実視野 (FOV) およびセンサーの画素数の関係を用いることで計算することができます。

カメラセンサーの有効エリアサイズを表すセンサーサイズは、センサーフォーマットサイズ (センサーフォーマットの詳細についてはレンズからセンサーへ: 情報を集めることの限界をご参照ください) として規定されています。しなしながら、センサーの正確な縦横寸法は、アスペクト比によって変化するため、とりわけテレセントリックレンズや高倍率対物レンズを用いる場合は、センサーフォーマットサイズはあくまで名目上で、参考程度に留めて理解した方が得策です。センサーサイズ (H) は、水平・垂直・対角方向のいずれにおいても、画素サイズ (s) とセンサーの有効画素数 (p) から直接求めることができます。

(2)$$ H = s \times p \times \left( \frac{1 \text{mm}}{1000 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}} \right) $$
(2)
$$ H = s \times p \times \left( \frac{1 \text{mm}}{1000 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}} \right) $$
画素サイズ (µm) 対応するナイキスト限界 $ \left( \tfrac{\text{本}}{\text{mm}} \right) $
1.67 299.4
2.2 227.3
3.45 144.9
4.54 110.1
5.5 90.9
Table 1: 画素サイズが大きくなるほど、対応するナイキスト限界$ \left[ \small{\tfrac{\text{本}}{\text{mm}}} \right] $の値は減少する

物空間解像力

物体上の観察可能な最小解像スポットの大きさを求めるには、センサーサイズに対するFOVの比が計算されなければなりません。この比は、システム倍率としても知られています。

(3)$$ m = \frac{H}{\text{FOV}} $$
(3)
$$ m = \frac{H}{\text{FOV}} $$

システム倍率は、像空間解像力から物空間解像力 $ \left( \xi _{\small{\text{Object Space}}} \right) $ を求めるのにも使用されます:

(4)$$ \xi _{\small{\text{Object Space}}} = \xi _{\small{\text{Image Space}}} \times m $$
(4)
$$ \xi _{\small{\text{Object Space}}} = \xi _{\small{\text{Image Space}}} \times m $$

アプリケーションを開発する際、システムの物空間解像力は$ \left[ \small{\tfrac{\text{本}}{\text{mm}}} \right] $を単位としたものではなく、長さを単位にしたものでその大きさが通常表されます。この変換を行うのには2つの方法があります:

(5)$$ \xi_{\small{\text{Object Space}}} \left[ \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}} \right] = \left( \frac{1}{2 \times \xi_{\small{\text{Object Space}}} \left[ \tfrac{\text{本}}{\text{mm}} \right]} \right) \times \left( \frac{ 1000 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}}{1 \text{mm}} \right) $$
(5)
$$ \xi_{\small{\text{Object Space}}} \left[ \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}} \right] = \left( \frac{1}{2 \times \xi_{\small{\text{Object Space}}} \left[ \tfrac{\text{本}}{\text{mm}} \right] } \right) \times \left( \frac{ 1000 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}}{1 \text{mm}} \right) $$
(6)$$ \xi_{\small{\text{Object Space}}} \left[ \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}} \right] = \frac{s}{m} $$
(6)
$$ \xi_{\small{\text{Object Space}}} \left[ \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}} \right] = \frac{s}{m} $$

最後の公式によって物体上の限界解像度が簡単に求められますが、これはレンズ選定を簡略化する上で像空間解像力や倍率を決定付けるのにもとても便利です。なお、別の数多くのファクターによって、公式を用いて容易に計算できるものよりも解像力が低くなってしまうことがあることも理解しておくことが重要です。コントラスト限界やレンズ選定に関する更なる情報は、コントラストイメージングレンズ選定ガイドをご覧ください。


SONY ICX 625センサーを使った解像力と倍率計算例

既知のパラメータ:
画素サイズ: 3.45 × 3.45μm
画素数 (H x V) : 2448 × 2050
必要な実視野 (水平方向): 100mm

センサーの限界解像度:

\begin{align} \xi_{\small{\text{Image Space}}} & = \left( \frac{1}{2 \times s} \right) \times \left( \frac{1000 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}}{1 \text{mm}} \right) \\ & = \left( \frac{1}{2 \times 3.45 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}} \right) \times \left( \frac{1000 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}}{1 \text{mm}} \right) \approx 145 \tfrac{\text{本}}{ \text{mm}} \end{align}

センサーの寸法:

$$ H_{\small{\text{Horizontal}}} = 3.45 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}} \times 2448 \times \left( \frac{1 \text{mm}}{1000 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}} \right) = 8.45 \text{mm} $$

$$ H_{\small{\text{Vertical}}} = 3.45 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}} \times 2050 \times \left( \frac{1 \text{mm}}{1000 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}}} \right) = 7.07 \text{mm} $$

光学倍率 (PMAG):

$$ m = \frac{8.45 \text{mm}}{100 \text{mm}} = 0.0845X $$

解像力:

$$ \xi_{\small{\text{Object Space}}} \left[ \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}} \right] = 145 \tfrac{\text{本}}{\text{mm}} \times 0.0845 = 12.25 \tfrac{\text{本}}{\text{mm}} \approx 41 \large{\unicode[Cambria Math]{x03BC}} \normalsize{\text{m}} $$

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