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液体レンズの基本

液体レンズの基本

本ページはイメージングリソースガイドセクション7.1です

液体レンズの基本

液体レンズは、レンズのピント合わせを機械的な動きではなく電子的に行うことで、イメージングシステムの被写界深度 (DOF) の制限を克服可能にします。これは、物体に高低さがあったり、作動距離が変化するアプリケーションにとっておきのソリューションとなります。この種のアプリケーションに対する従来のソリューションは、電動ズームレンズの使用や被写体を物理的に位置変更することでした。従来のレンズのDOFを増加させる別の方法は、レンズの絞りサイズを小さく絞り、Fナンバーを増加させることです。しかしながら、これは解像力やイメージングシステムを通過する光の量を低下させてしまい、フレームレートと画質を低下させます (Fナンバーに関する更なる情報はシステムスループット、 Fナンバー、開口数を参照)。液体レンズを実装することで、イメージングシステムはピント合わせを電子的に行え、カメラから対象物までの距離にかかわらず、フレームレートや画質を妥協する必要性をなくします。

ガラス製の従来の光学レンズと同様に、液体レンズは一枚構成の光学素子ですが、その形状を変えることのできる光学液体材料を用いています。ガラス製レンズの焦点距離は、ガラスの材料とその曲率半径に依存します。液体レンズにも同じ基本原理が適用されますが、液体レンズは曲率半径を変えることで焦点距離を変えられる点で独特です。曲率半径の変化を電子制御で行い、ミリ秒オーダーで瞬時に変化させます。液体レンズの曲率半径と屈折率の制御を行うためにエレクトロウェッティングからポリマーの形状変更、そして音響光学チューニングに至るまでのテクノロジーを利用しています。

大抵のイメージングレンズは、複数枚のレンズ素子で構成されています。なぜなら、一枚構成のレンズ系だと十分な結像性能が得られないためです。同じ理由から、液体レンズ単独で使用することもお勧めできません。しかしながら、液体レンズをレンズ複数枚構成のイメージングレンズ内に実装することで、液体レンズの速度と柔軟性を上手く活用することができます。近接と無限遠の両方へのピント調整をミリ秒単位で行える能力を持たせることで、検査対象物のサイズや液体レンズからそこに至るまでの距離が異なる場合 – 例えばバーコードリーダーや梱包品の選別、セキュリティー、素早い自動化など、複数の距離でのピント合わせが求められるアプリケーションに最適な選択肢にします。液体レンズは、素早いピント合わせを必要とする広範なアプリケーションに対してイメージングシステムの柔軟性を最大化するのに用いることができます。

Figure 1: 焦点距離はガラスの屈折率とレンズ表面の形状に依存する
Figure 1: 焦点距離はガラスの屈折率とレンズ表面の形状に依存する

レンズメーカーの方程式

(1)$$ \frac{1}{f} = \left( n-1 \right) \times \left( \frac{1}{R_1} - \frac{1}{R_2} \right) $$
(1)
$$ \frac{1}{f} = \left( n-1 \right) \times \left( \frac{1}{R_1} - \frac{1}{R_2} \right) $$

レンズメーカーの方程式 (式 1)は、レンズの焦点距離 ($ \small{f} $) を計算するのに用いられ、屈折率 ($ \small{n} $)、左側ガラス面の曲率半径 ($ \small{R_1} $)、右側ガラス面の曲率半径 ($ \small{R_2} $) に依存することを示しています。焦点距離はガラスの屈折率を上げると短くなり、曲率半径 ($ \small{R} $) のどちらかを変えることでも短くすることができます (上図参照)。液体レンズは、レンズの形状を電気的に制御することによって機能します。

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