レーザー共振器モード
本ページはレーザーオプティクスリソースガイドのセクション4.1です
レーザービームの形状は、レーザー光が利得媒質内で増幅される共振器のキャビティで決まります。レーザー共振器は、一般的に高反射率誘電体膜ミラーかモノリシック結晶を用いて構成され、全反射を利用して光を閉じ込めています (Figure 1)。レーザー共振器の一般的構成を以下に紹介します1:
- 平行平面鏡共振器: 2枚の平面ミラーを発振する波長の1/2の整数倍の間隔で配置
- 共中心型共振器: 曲率半径の等しい2枚の球面ミラーを曲率中心を一致させる形で配置
- 共焦点共振器: n曲率半径の等しい2枚の球面ミラーを焦点を一致させる形で配置
- リング共振器: 3枚以上の反射鏡を発振する波長の1/2の整数倍の間隔でリング状に配置し、反射した光の完全なクローズドループパスを形成
Figure 1: レーザー共振器の一般的な4つのタイプ (nは整数値、λは発振する波長、Rは曲面ミラーの曲率半径、fは曲面ミラーの焦点距離)
反射光がキャビティ内部に留まっている限り、反射する回数が無限であったとしても、共振器のキャビティは「安定」しています (Figure 2)。この例において、キャビティから光が外に出る唯一の方法は、部分透過鏡からだけになります。これに対し、反射する回数が無限に近づくにつれて反射光が連続的に発散している場合は、共振器のキャビティは「不安定」である考えられます。この場合、ビームサイズが反射鏡のサイズより大きくなるまで反射を繰り返すと、共振器から光が漏れ出します。安定した共振器は、高利得と指向性改善のために、2kWまでのパワーのレーザーによく用いられます。これに対して、不安定な共振器は、反射鏡が損傷する可能性を低減するため、これよりも高いパワーのレーザーに通常用いられます1。
Figure 2: 安定したレーザー共振器は反射ビーム全てをキャビティ内に封じ込めるのに対し、不安定な共振器は最終的にキャビティ外に漏れるまで拡がる
共振器キャビティの光路長は、縦モード、即ちキャビティ内に定在波を作り出す電界分布を決定づけます。ビームのモードでその形が決まります。このモードは、(キャビティ内での損失によって一部のパワーが失われる可能性は別にして) 振幅プロファイルを維持しながら共振器内部に一つの閉ループパスを作り出します。共振器モードを生じさせるには、1つの閉ループパスに対して位相シフトを2πの整数倍にする必要もあります (Figure 3)。
Figure 3: 共振器モードを生じさせるために、光共振器内の閉ループパスの位相シフトを2πの整数倍にしなければならない
レーザー共振器モードの最もシンプルなタイプは、エルミート・ガウシアン (Hermite-Gaussian) モード、別名Transverse Electromagnetic Mode (TEMnm)) と呼ばれるもので、電場プロファイルがガウス関数とエルミート多項式の積により近似することができます2:
E_{nm} \! \left(x, y, z \right) = & \, E_0 \frac{w_0}{w \! \left( z \right)} \, \cdot \, H_{n} \left( \sqrt{2} \frac{x}{w \! \left( z \right)} \right) \\
& \cdot \exp{\left( -\frac{x^2}{w \! \left( z \right) ^2} \right)} \, \cdot \, H_m \left( \sqrt{2} \frac{y}{w \! \left( z \right)} \right) \cdot \exp{\left( -\frac{y^2}{w \! \left( z \right) ^2} \right)} \\
& \cdot \, \exp{\Bigg[ -i \left[ kz - \left( 1 + n + m \right) \cdot \tan^{-1}{\left( \frac{z}{z_R} \right)} + \frac{k \left( x^2 + y^2 \right)}{2 R \! \left( z \right) } \right] \Bigg]}
\end{align}
or
- E0は最大電界強度
- xとyはビーム断面を定義する軸
- zは伝搬軸
- w0はビームウエスト
- w(z)は与えられたzでのビーム半径
- Hn(x)とHm(x)は負では無い整数nおよびmが付いたエルミートの多項式
- kは波数(k=2π/λ)
- zRはレイリー領域
- R(z)は波面の曲率半径
整数nとmは、それぞれx方向とy方向のビーム形状を定義します。理想的なガウシアンビームは、nとmが両方とも0である時に起こり、TEM00モードで定義されます (Figure 4)。ガウシアンビームに関する詳細は、ガウシアンビームの伝播を参照ください。nとmが0以外の場合は、共振器モードがより複雑になります3。Figure 5は、nとmの値が0~3の、最小次数のエルミート・ガウシアンモードの断面形状です。
Figure 4: エルミート・ガウシアン共振器モード TEM00は、完全なガウシアンビームに一致する
Figure 5: nとmの値が0から3までの最低次エルミート・ガウシアン共振器モードのビーム断面
参考文献
- “Section 2.6: Various Laser Resonators.” Advanced Manufacturing Laboratory, Columbia Engineering, www.aml.engineering.columbia.edu/ntm/level2/ch02/html/l2c02s06.html.
- Paschotta, Rüdiger. Encyclopedia of Laser Physics and Technology, RP Photonics, October 2017, www.rp-photonics.com/encyclopedia.html.
- Paschotta Rüdiger. Field Guide to Lasers. SPIE Press, 2008.
その他の資料
もしくは 現地オフィス一覧をご覧ください
クイック見積りツール
商品コードを入力して開始しましょう
Copyright 2023, エドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社
[東京オフィス] 〒113-0021 東京都文京区本駒込2-29-24 パシフィックスクエア千石 4F
[秋田工場] 〒012-0801 秋田県湯沢市岩崎字壇ノ上3番地