高分散ミラー
本ページはレーザーオプティクスリソースガイドのセクション13.1, 13.2, 13.3です
分散についての詳細と、それが超短パルスレーザーシステムにどのように大きな影響を与えるかについては、分散と、超短パルス分散をご覧ください。超短パルスレーザーシステムの多くの光媒体に導入されている正のチャープもしくは分散は、負の分散を特徴とする高分散ミラーなどの光学部品を使用して補償できます。これにより、短波長での位相速度が長波長でのそれよりも高くなり、正のチャープが相殺されて、パルス持続時間を短くします (Figure 1)。
Figure 1: Highly-dispersive mirrors and other pulse compressing optics introduce negative dispersion, canceling out the positive dispersion experienced by ultrafast laser pulses as they transmit through optical media
かつての分散補償方法
高分散ミラーが市場に出される以前は、プリズムや回折格子、Gires-Tournois Interferometer (GTI) ミラーやチャープミラーをはじめ、いくつかの異なるタイプのパルス圧縮用オプティクスが超短パルスシステムに伝統的に用いられてきました。
分散プリズムと回折格子
超短パルスレーザーシステム内で正のチャープを相殺し、パルス持続時間を短縮するために、負の分散を持つプリズムや回折格子を用いることができます (Figure 2)。分散プリズムは、広いスペースを占める大掛かりなセットアップが必要になりがちです。分散プリズムと回折格子はどちらも通常は低スループットで、アライメントや配置する間隔で特性が大きく変わり、三次分散の多さから時間的な広がりを増大させます。
Figure 2: While prisms and gratings can be used for pulse compression, they face a number of disadvantages compared to highly-dispersive mirrors
Gires-Tournois Interferometer (GTI) ミラー
高分散ミラーの機能を理解するためには、Gires-Tournois Interferometer (GTI) ミラーを理解する必要があります。Gires-Tournois 干渉計は、高反射GTIミラーを使用して色分散を生成する定在波共振器です。GTIミラーによって反射される光の位相は、ミラーのコーティングにおける共振によって波長依存性があり、GTIミラーが角度依存の負のGDDを発生させ、超短パルスレーザーの共振器分散制御を可能にします。しかしながら、GTIミラーは高次分散を招き、限られた波長域でしか負のGDDを発生させません。
チャープミラー
高分散ミラーを完全に理解するには、チャープミラーを理解することも重要です。共鳴効果を使用して負のGDDを提供するGTIミラーとは異なり、チャープミラーは、ミラーのコーティング内での波長依存の浸透深さによって制御された負のGDDを発生させます。一般的な誘電体膜ミラーは特定の一波長を反射するようにデザインされていますが、チャープミラーはそれぞれのコーティング層が異なる波長を反射するようにデザインされています。コーティング層の厚さは、ミラーの外側面から最下層に向かって増加していき、長波長がコーティング層のより深部にまで浸透し、短波長よりも長い光路長を辿ることで、正の分散を相殺します (Figure 3)。
Figure 3: チャープミラーの層の厚さの違いが負の分散を引き起こす
Unfortunately, the sharp transitions between different layer thicknesses in this simple dielectric structure causes oscillations in group delay dispersion (GDD) as a function of wavelength (Figure 4).
Figure 4: Oscillations in the GDD of an ultrafast chirped mirror due to the discrete switching between different layer thicknesses
高分散ミラー
高分散超短パルスミラーは、チャープミラーのそれと同様、波長依存の浸透効果と、multi-GTIとして知られるコーティング内の多重共鳴効果を組み合わせています1。この組み合わせは、従来のGTIミラーの帯域幅制限とチャープミラーのGDD変動の両方を抑えます。高分散超短パルスミラーは、高スループットで三次分散ゼロ、また高次の負のGDDといった特性もあるため、超短パルスレーザーシステムでのパルス圧縮用オプティクスに理想的です (Figure 5 & 6)。
Figure 5: In additional to negative dispersion for ultrafast pulse compression, highly-dispersive mirrors provide high reflectivities to maximize throughput
Figure 6: Ultrafast highly-dispersive mirrors offer negative GDD with a high magnitude and far less wavelength-dependent oscillation than chirped mirrors
従来のチャープミラーやGTIミラーを超えるいくつかの利点により、高分散超短パルスミラーは、超短パルスレーザーシステムのセットアップに必須の素子となりました。同ミラーは、高次の負のGDDを必要とする高エネルギー超短パルス生成でのアプリケーションに大きなメリットがあります。このミラーは、分散ミラーの反射回数を増やすことなくパルス圧縮を可能にし、アライメント感度やラウンドトリップ損失を制限します。
チャープミラーペア
先に示したように、高分散ミラーは、グレーティングやプリズムのような従来の圧縮方法で経験した3次やそれ以上の次数の分散を回避します。しかしながら、Figure 4に示すように、100nmを超えるバンド幅ではGDD特性が上下に変動してしまいます。チャープミラーペアは、こうした特性が有害となるアプリケーションに対してより良いソリューションとなる可能性があります。チャープミラーペアを構成する各ミラーは、位相ずれしたGDD変動を持つように選定され、より広いバンド幅にわたって全体的に変動のないGDD特性にします (Figure 7)。これにより、パルス幅を<3fs にまで圧縮することを可能にします。
Figure 7: 位相ずれしたGDD変動特性を有する2枚のチャープミラーを対で用いることで、非常に広い波長領域に対してほぼ変動フリーの総合GDDを実現する。2枚のミラーは "L"と "S"を用いて区別される
Highly-Dispersive Mirrors from Edmund Optics®
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参考文献
- Pervak, V., et al. "High-Dispersive Mirrors for Femtosecond Lasers." Optics Express, vol. 16, no. 14, 2008, pp. 10220–10233., doi:10.1364/oe.16.010220.
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