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同軸落射照明の考察
Edmund Optics Inc.

同軸落射照明の考察

本ページはイメージングリソースガイドセクション11.2です

同軸落射照明は、マシンビジョンレンズの光路内に照明用光学系を組み込んだ独特な構成の照明法です。通常は、ファイバーライトガイドかLED光源をこの光学系に接続して使用します。同光学系内に組み込んだビームスプリッターで照明の光路を曲げ、画像の光路を上方に持っていくという点では、拡散同軸照明の構成に類似していますが、ビームスプリッターがレンズの対物側にではなく、レンズアッセンブリ内にあるのが異なります。これによって、同軸落射照明は拡散同軸照明よりもコンパクトになります。同軸落射照明は、明視野照明の形態を取りますが、拡散同軸照明よりもより直接照射で、明視野照明と暗視野照明の両方を混ぜ合わせたものになります。一部のテレセントリックレンズには、レンズの実視野全体にわたり反射明視野照明を得る唯一の方法として、この同軸落射照明が装備されています (Figure 1)。通常の反射明視野照明の場合、レンズ前方のあらゆる照明の光がレンズ実視野の外側から入るからです (照明方法の正しい選択参照)。
Diagram of in-line illumination within a telecentric lens.
Figure 1: テレセントリックレンズ内に組み込まれた同軸落射照明系

同軸落射照明をバックライト照明と比較すると、得られる画像の違いの大きさがわかります。Figure 2は、透明なガラス基板上にテストパターンをクロム蒸着したポジ型のUSAF 1951 ターゲットを2つの照明法を用いて映した時の各々の画像です。

Chrome on glass USAF 1951 resolution target with backlit illumination (Figure 2a), and in-line illumination (Figure 2b)
Figure 2: ガラス基板上にクロム蒸着したUSAF 1951 解像力ターゲットのバックライト照明時 (Figure 2a) と同軸落射照明時 (Figure 2b) の画像

2種類の照明法の違いにより、正反対の明暗コントラスト画像になることがすぐにわかります。ターゲット内の不良部分がバックライト照明を用いることでより明白に現れますが、これはアプリケーションに応じて正にも負にも働きます。興味深いのは、テストパターン自体 (クロム蒸着)が持つ高い反射性によって、同軸落射照明時の画像の方がバックライト照明時の画像よりも10%程高いコントラスト性能を得られることです。その理由を以下に説明します。

同軸落射照明を用いる時

同軸落射照明の使用を検討する際は、どこを明るく映し出し、どこを暗くするのかを正確に把握することが重要です。同軸落射照明は、照明光路上の光線の性質により、半導体ウエハーやCCDなど、正反射体や正反射に近い物体を検査するのに効果的です。同軸落射照明を搭載したテレセントリックレンズと、同照明を搭載しない同一レンズによる2台のレンズ構成で、明視野照明 (リングライト使用)と同軸落射照明の異なる照明法を用い、同一のCCDサンプルを検査しました。得られた画像は、Figure 3の通りです。

Comparison of darkfield illumination (left) with brightfield in-line illumination (right)
Figure 3: 暗視野照明 (左) と明視野同軸落射照明 (右) の画像比較
暗視野照明 明視野同軸落射照明
ワイヤーに対し低コントラスト ワイヤーに対し高コントラスト
フェースプレート上の欠けを明るく描写 フェースプレート上の欠けを暗く描写
一部のエリアで高コントラスト画像だが、フィールド全体では一貫性なし 構造間を一定コントラストで均一に照明
Table 1: 暗視野照明と同軸落射照明の比較

同軸落射照明は、CCD端部に沿って配列したワイヤー部を検査するのにより良い選択になります。ワイヤーとそれ以外のCCD部との間でより均質で高コントラストな画像を作り出します。Figure 4で示した通り、Figure 3でのワイヤー部が同軸落射照明を用いることで背景に対してより黒く映る理由は、背景部が鏡面状で全ての光を正反射してレンズ内に戻してしまうのに対し、光を拡散してしまうワイヤー部は少量の光だけを散乱してレンズ内に戻すからです。これに暗視野照明を用いると、背景部は正反射の殆どがレンズ内に戻らないことから暗く映ります。拡散ワイヤー部の反射もまた暗く映るため、ワイヤー部と背景部間のコントラスト差を低くします。

暗視野照明の場合、リングライトから出射した光線は、物体で反射した後にレンズに入射します。反射量は、使用する個々の光源の光線出射角度やワイヤー部のCCD面に対する設置角度、またはんだ材料によって変わります。ワイヤー部の長さ方向に沿って反射量が不均一になる理由です。同軸落射照明を用いると、物体で反射した全ての光線が散乱し、ワイヤー部に当たった光線はレンズ/センサーには一切戻りません。ワイヤー部のコントラストを際立たせるには、その背景部に当たる部位のコントラストが均一になるほど、同軸落射照明が暗視野照明よりもワイヤー検査にはより良い選択となります。

CCDカバーガラスのディグ (窪み)やチップ (欠け)を検査する場合、同軸落射照明は最も都合の良い選択となります。なぜなら、画像全体のコントラストがより均一になるためです。同軸落射照明を用いることで暗く映るチップは、Figure 3に紹介した通り、暗視野照明を用いて得られる高コントラスト画像よりも、密な構造のCCD面の背景に対して更に高いコントラスト画像となって現れます。

With the darkfield ring light illumination (left), most, but not all, of the light reflecting off a specular object does not make it back into the lens, while essentially all of the light with in-line illumination (right) reflects off the specular object and goes back into the lens.
Figure 4: 暗視野リングライト照明 (左)では、正反射体で反射するほとんどすべての光はレンズに戻らないが、同軸落射照明 (右) では実質すべての光が正反射体で反射してレンズに戻る

同軸落射照明を用いない時

同軸落射照明は、その多くの利点から、設置スペースの制限されたシステムに対して常に優れた選択肢になると考えられていることが多いのも事実です。結論から言うと、同軸落射照明はすべてのアプリケーションに対してはベストなソリューションになりません。拡散もしくは薄暗く反射する物体に対しては、異なる照明技術を使用することでより効果的な撮像が可能となります。ビームスプリッターを光路に配置する場合、その性質によりある程度の迷光が同軸落射照明システムに現れ、これに対応するための唯一の選択肢を行うと、航路に対し更なる問題を招くことになります。その結果、物体から反射あるいは散乱することなく、光源からセンサーに届く光が常に存在することになります。その結果、画像に霞がかかり、物体の黒領域が画像において黒いまま表現されない原因となります。このコントラスト低下が常に問題となるわけではありませんが、拡散画像や暗い物体などの低信号アプリケーションにおいては問題となる場合もあります。Figure 5にその例が示されています。ここでリングライト照明は木製の物体に対して均一な照明を与えていますが、同軸落射照明においては、画像は中心にホットスポットのある灰色となっています。

Comparison of wooden object illuminated with a ring light (left) and in-line illumination (right).
Figure 5: 木製物体の画像比較: リングライト照明使用時 (左)と同軸落射照明使用時 (右)
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