球面レンズに向けた精密な公差
球面レンズに向けた精密な公差
エドモンド・オプティクスは、当社が製造するTECHSPEC® 球面レンズ製品に対する様々な標準製造公差を見直し、より厳しくしました。この見直しは、レンズを鏡筒アッセンブリ内に「落とす」だけで実装できることを念頭に、能動的なアライメントを始めとする複雑な組み立て手順を取り除く目的で行われました。この変更により性能が改善され、当社のレンズ製品を用いたOEM実装が容易になります。この見直しは、より精密となったスペックは、EOが年間数百万個ものレンズを生産する日本、シンガポール、及び米国にある球面レンズ製造施設での工程改善により実現可能となりました。改善したスペックを以下に紹介します:
直径公差: 当社のTECHSPEC® 球面レンズ製品全ては、レンズのサイズに関係なく、+0.000/-0.025mm の直径公差となりました。25µm以内の公差内に直径をおさえることで、精巧にデザインされた鏡筒内にレンズを正確に設置することを確実にし、レンズの光軸が鏡筒の機械軸と一致させることを可能にします。
直径公差は、光学素子を固定する際に考慮しなければならない極めて重要な機械的公差です。名目上の直径からのずれは、レンズが固定冶具内に適切に座することを妨げ、光学アッセンブリ内の芯ずれや傾きを引き起こします。以下の図は、レンズがその直径誤差によって鏡筒内部に適切に保持されていない様子を表します。
Figure 1: 直径誤差による影響
偏芯: 当社のTECHSPEC® 単レンズ製品は、10mmよりも長い焦点距離を有する全てのレンズに対して1分未満の偏芯公差となりました。この精密な光軸スペックにより、レンズが要求の厳しいイメージングアプリケーション内でも使用できるようになります。公差を厳しくしたレンズと組み合わせれば、より小さくなった偏芯のスペックが光学アッセンブリ内での結像方向の傾きを最小化させます。以下の図は、偏芯誤差により引き起こされる結像方向の傾きの様子です。
Figure 2: 偏芯誤差による影響
表面品質: 当社のTECHSPEC® 球面レンズ製品全ては、レンズのサイズに関係なく、40-20 のキズ-ブツ (スクラッチ-ディグ) の表面品質となりました。この精密な外観スペックにより、レンズが要求の厳しいレーザーシステムでも使用できるようになります。光学面上のわずかなキズや窪みでさえ光を散乱させ、レーザーベースのアプリケーションにおいては有害となることがあります。
表面品質は、レンズのレーザー損傷閾値にも影響を及ぼします。表面品質のスペックが緩いレンズは、中出力程度のレーザーやエネルギー量でも損傷することがあります。レンズ内のキズやブツがレーザー光を前方後方に散乱させ、コーティング破壊を引き起こすこともあります。以下の図は、コーティングがレーザー光によって破壊される様子を表します。
Figure 3: 73.3 J/cm2のレーザーで生じたコーティング破壊
エドモンド・オプティクスの40-20の表面品質規格に当社の高耐久なARコーティングを採用したTECHSPEC® レンズ製品は、波長にも依存しますが、おおよそ7J/cm2までのレーザーに使用することができます。当社標準の広帯域反射防止コーティングの推奨エネルギー限界値を網羅した反射防止 (AR) コーティングのアプリケーションノートをご覧ください。
球面製造対応力 | |||
商用 | 精密 | 精密 | |
直径 | 4 – 200mm | 4 – 200mm | 4 – 200mm |
直径公差 | +0/-0.100mm | +0/-0.025mm | +0/-0.010mm |
中心厚公差 | ±0.100mm | ±0.050mm | ±0.010mm |
サグ | ±0.050mm | ±0.025mm | ±0.010mm |
有効径 | 80% | 90% | 90% |
曲率半径 | ±0.3% | ±0.1% | 原器固定 |
ニュートン (P-V) | 3.0λ | 1.5λ | λ/2 |
イレギュラリティ (P-V) | 1.0λ | λ/4 | λ/20 |
偏芯 (ビーム偏角) | 3' | 1' | 0.5' |
面取り (@ 45°) | <1.0mm | <0.5mm | <0.25mm |
表面品質 (キズ-ブツ) | 80-50 | 40-20 | 10-5 |
アプリケーション例
イメージングレンズ
当社のレンズは、光軸の正確なアライメントにより、要求の厳しいイメージングアプリケーションでの使用に最適となります。例えば以下の画像は、より厳しくした偏芯公差が如何にイメージングレンズの解像力を格段に上げるかを表します。この場合、1'未満の偏芯によって、イメージングレンズが128本/mm程度の解像力 (20% コントラスト時) を達成することができます。しかしながら、2枚の素子が6'未満の偏芯におさまっている場合、86本/mm程度の解像力 (20% コントラスト時) しか得ることができません。
イメージング用の組みレンズ製品の性能を許容レベルに持っていくため、複雑で費用のかかるアライメント手順を導入するより、直径公差や偏芯公差をより厳しくした個々のレンズを単純に用いることで、解像力を50%程度向上することができました。アクティブアライメントといった複雑な組み立て手順の必要性を減らすことで、どんなアプリケーションや組み立て作業に対しても時間と費用の節約を可能にします。
Figure 4: 偏芯誤差による解像力への影響: (上のグラフ) 全ての素子を 1'未満の偏芯におさめた場合 (下のグラフ) 2枚の素子を 6'未満の偏芯におさめた場合
ビームエキスパンダー
ビームエキスパンダーでは、偏芯誤差がビームのふらつきに影響を及ぼし、出射ビームが入射ビームに対して平行ではなくなります。ビームのふらつきは、レーザーシステムのアライメント作業を複雑にさせ、入射軸と出射軸の不一致を調節するために筐体を傾けて設置する必要が生じます。ビームのふらつきを以下の図に示します。
Figure 5: 偏芯誤差によるビームエキスパンダーへの影響
コリメーターの角度調節が不可能な機械機構部の場合、ビームの進行方向の傾きが進路を妨げ、エネルギーロスが生じることもあります。ビームエキスパンダー内のレンズ素子の直径や偏芯を厳しく制限することで、ビームのふらつきを防止する高価な機械的ソリューションの導入を防ぎ、シンプルなレーザーシステムに仕上げ、かつ全体コストを低減することができます。
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