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Extreme Ultraviolet Optics

オプティクスをその先の「極端」な世界へ

 

新たなテーブルトップ型の光源の出現により、10 - 100nm波長のアプリケーションがより身近に

 

EUVのアプリケーションは、計測、ナノスケールイメージング、電子分光法など

 

EUVシステムでは、透過型 (屈折型) オプティクスによる光の吸収が大きいため、通常は反射型オプティクスを使用

 

短波長では散乱が非常に高くなるため、表面粗さが重要

極端紫外 (EUV) とは、おおよそ10nmから100nmの波長域を指し、これはX線から深紫外 (DUV) のスペクトル範囲に該当します。このEUV域には、リソグラフィ、ナノスケールイメージング、分光など、多くの重要なアプリケーションが存在し、近年は小型EUV光源の開発に多くの努力が注がれてきました。こうした努力によって、さまざまなタイプのEUV光源が市販されるようになりました。

EUV放射は、ほぼすべての材料で強く吸収されます。そのため、 ほとんどの場合、光学部品は透過型ではなく反射型が選ばれます。波長が短いため、EUV用オプティクスでは、表面品質に対する要件は可視光用オプティクスよりも厳しいものになります。そのため、EUV用オプティクスを製造することは容易ではありませんが、高解像度イメージング、分光法、材料加工にEUV放射を利用するメリットは大きく、努力するだけの価値はあります。

EUV光源

最初に実用化されたEUV光源は非常に大きく、大規模な研究所やリソグラフィメーカーしか導入できないものでした。しかし、最近のEUV技術における進歩によって、はるかに小型で使いやすいテーブルトップ型のEUVシステムが開発されています。中でも高次高調波発生 (HHG) システムとキャピラリー放電レーザーの2つは、もっとも有望なテーブルトップ型EUV光源で、拡がり角の小さいコヒーレントビームを発生します。

EUV光のアプリケーション

新しいEUV光源によって、高解像度イメージング、電子分光法、分子力学/固体力学の研究、ナノマシニングなど、いくつもの新しいEUVアプリケーションが生まれています。

EUVイメージング

EUV放射は、0.5nmという高い解像度を実現するコヒーレント回折イメージング (CDI) に最適です。CDIは、ナノチューブやナノ結晶といった非常に小さな構造の分析に利用されています。CDIでは、EUV光を撮像対象に向けるためにミラーが使用されます。EUV光は、対象物表面の形状 (場合によっては内部の形状) によって回折され、その後、近接するCCDディテクタで検出されます。記録された回折パターンはソフトウェアで処理され、撮像対象である物体の2Dもしくは3D画像が生成されます。ミラーと回折は透過型レンズの代わりに使用されるので、最終的な画像は回折限界に近く、収差もほぼありません。回折限界の分解能は、波長に直接比例するので、短い波長をもつEUV放射によって解像度はさらに向上します。CDIは原子間力顕微鏡 (AFM) などの類似技術よりも高速な非接触型のイメージング技術で、1分ほどで画像を取得することができます。EUV CDIによって可能になる高い解像度は、現在のイメージング技術の限界を押し上げるものです。

Typical EUV coherent diffractive imaging setup
Figure 1: 一般的なEUVコヒーレント回折イメージングのセットアップ

EUV光学分光&光電子分光

EUV分光法は、他の分光技術では難しいエネルギー準位の分析が可能なため、多くの研究用途にとって重要な技術です。EUV放射は、光子放出分光法で利用されています。この分光法では、光電効果によって放出される電子エネルギーを測定することによって、固体、液体、気体中の電子エネルギーを特定します。また、核融合実験で見られるプラズマ不純物からの放射線のほとんどは1 - 50nmの間におさまるので、EUV分光法は核融合の研究でも利用されています。EUV放射は波長が短いため、構造化物体内の特定要素の正確な位置の決定にもEUV分光システムを利用することができます。EUV分光法によって可能になる研究は、材料科学や核融合を利用したエネルギー源に大きなインパクトを与える可能性があります。

EUV radiation falls between X-ray and ultraviolet spectral regions
Figure 2: EUV放射は、X線と紫外線の間のスペクトル域に該当します。

EUVナノマシニング

非常に小さな微細構造やナノ構造を加工できる能力は、ナノテクノロジーの発展にとって重要です。EUVナノマシニングは、まだ開発のごく初期の段階ですが、ナノメートルスケール構造の作製や修正に有望な技術です。集光スポット径の大きさは直接波長に比例します。そのため、EUVナノマシニングシステムでは、長い波長を用いたシステムよりも高い空間分解能を得ることができます。ほとんどの材料においてEUV放射の吸収深度が浅いということは、エネルギーの局在化にもつながるため、極めて微細な形状のエッチングも可能になります。ナノテクノロジーは、医療機器や治療法、製造技術、エネルギーシステム、エレクトロニクスなど、さまざまな分野に発展をもたらし、社会に大きなインパクトを与える可能性があります。

Nano-machining is a critical part of a number of emerging applications
Figure 3: ナノマシニングは、ナノエレクトロニクス、ナノメディシン、生体材料など、多くの新しいアプリケーションにとって重要な役割を果たします。

EUVアプリケーション用光学部品

波長100nm未満の光は空中では伝播しないため、EUVシステム内は真空であることが不可欠となります。同様に、EUV放射はほぼすべての材料で非常に高い吸収を示すため、EUVアプリケーション用の光学部品はほぼ例外なく反射型です。短波長では散乱も大きいため、EUV用オプティクスでは、表面粗さや平面度などの表面公差が重要になります。EUVアプリケーションで使用されるミラーで一般的なのは、多層膜のブラッグ反射ミラーです。このミラーでは、2つの異なる材料の周期的な層が、波長の特定の帯域の構造的な干渉・反射を引き起こします。そのため、入射光の一部は各層の表面で反射されます。EUV用多層膜ミラーの帯域幅は約1nmと非常に狭いため、このタイプのEUV用オプティクスは、光源の波長に厳密に合致していることが求められます。

Example of a λ/4 Bragg reflector that could be used as an EUV mirror
Figure 4: λ/4多層膜ミラーの構造。EUVミラーには、通常50組の層があります。

 

エドモンド・オプティクスのEUV用オプティクス

極端紫外 (EUV) 用平面ミラー 極端紫外 (EUV) 用平面ミラー

極端紫外 (EUV) 用平面ミラーは、超精密研磨された単結晶シリコン基板に反射コーティングを蒸着した多層膜のブラッグ反射ミラーで、3Å未満の表面粗さが得られます。設計波長/設計入射角で最大反射率が得られる設計で、5° もしくは45°の入射角 (AOI) のものをラインナップしています。

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極端紫外 (EUV) 用球面ミラー 極端紫外 (EUV) 用球面ミラー

極端紫外 (EUV) 用球面ミラーは、極端紫外 (EUV) 用平面ミラーと正に同じ多層Mo/Si コーティングを採用しますが、曲面基板を利用して非偏光EUV光源を5°の入射角で一点集光します。13.5nmで60%を超える反射率に、<3Å RMSの表面粗さと0.5nmの狭帯域パスバンド特性を有します。

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よくある質問 (FAQ)

FAQ  極端紫外 (EUV) 用平面ミラーは、なぜ13.5nm用に設計されている?
13.5nmはもっともよく使用される極端紫外 (EUV) 波長の1つのため、EUV用平面ミラーは、13.5nm用に設計されています。たとえば、リソグラフィで使用されるスズプラズマ光源は13.5nmで出射します。それ以外のEUV用アプリケーションでも、この波長が標準波長として採用されています。
FAQ  極端紫外 (EUV) 用平面ミラーは、なぜ合成石英ではなく単結晶シリコン基板を使用している?

合成石英基板が使用されているEUV用オプティクスもありますが、単結晶シリコン基板のほうが合成石英よりも熱的安定性に優れているため、EOでは単結晶シリコン製のEUV用平面ミラーをご提供しています。

FAQ  EUV放射には、なぜ透過型オプティクスが使用できない?

EUVの光子エネルギーは90eV前後です。 典型的なイオン化エネルギーは、有機材料が7 - 9eV、金属が4 - 5eVです。そのため、EUV光子は吸収されやすく、光電子と二次電子を生成します。これによって、実質的にすべての材料でEUV放射の透過は阻止されます。

FAQ  試料からの散乱光がCCDディテクタ上に像を結ばないのであれば、コヒーレント回折イメージング (CDI) では画像はどのようにして生成される?

撮像対象からの散乱光は、ディテクタ上に反転した回折パターンを生成します。画像を再構築するため、ここで記録されたパターンには、逆フーリエ変換アルゴリズムが適用されます。画像の生成にレンズシステムを使用する代わりに、ソフトウェアを用いて、散乱した回折パターンを対象物の高さマップへと変換します。

参考資料

アプリケーションノート

理論的説明や公式、図解などを網羅した技術情報やアプリケーション実例です。

UV Optics: Tighter Tolerance and Different Materials
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Why Laser Damage Testing is Critical for UV Laser Applications
読む  

関連ページ

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紫外レーザー用オプティクス
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