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オートメーション化の進展を可能にする過酷な環境対応レンズ

 

オートメーション化に向けた新たな環境に導入されるイメージングシステム

 

こうした新しいアプリケーションの多くは過酷な環境下におかれている

 

マシンビジョンレンズはこうした環境下でも性能を維持できるように進化している

 

レンズは衝撃や振動、浸水、温度変化などに耐えるよう耐久化が施されている

オートメーション化されたシステムは、さまざまな産業に広がり、現代の生活にとってますます重要なものとなっています。オートメーション化された農業機械から製造現場で働くロボット、ドローンにいたるまで、マシンビジョンシステムは、従来の管理された環境以外の新たなアプリケーションにも配備されつつあります。こうした環境下では、衝撃や振動、水噴霧、湿度、汚染物質、温度変化など、過酷な条件にさらされることが多くなります。マシンビジョン用レンズは、すでにプロシューマー (生産消費者) 用レンズよりも耐久化が進んでいますが、さらに過酷な使用事例ではさらなる耐久化頑が必要な場合があります。このような厳しい条件をクリアするために新世代のマシンビジョンレンズが登場し、どのような状況下でもオートメーションシステムが高性能な要件を満たすことを可能にしています。

なぜ、さらなる高耐久化が必要なのか?

従来のマシンビジョンレンズは、すでに工場環境での摩損に耐えるように設計されています。こうしたレンズは、破損することなく長期間使用することができます。しかし、機械に組み込んだり、トラックに積載したり、工場の床に落としたり、衝撃や振動、汚染物質が加わるような環境での使用は、必ずしも想定されずにデザインされています。工場の環境は、厳しくはあっても管理されていることが多い一方、そうではない環境も存在します。

従来のマシンレンズは、絞り調整用の複数のリーフアイリスや、両メス & 両オスのピント調整機構を備えており、用途に応じて柔軟に対応できるようになっています (Figure 1)。しかし、衝撃や振動によってこれらの可動部が移動し、不要な画素シフトを起こしたり、解像力を低下させたりすることがあります。水や他の汚染物質がレンズアッセンブリに侵入し、レンズが使用できなくなったり、レンズの背後にあるカメラセンサーが損傷することもあります。また、温度変化によりガラスレンズや金属筐体が伸縮し、ピント位置がずれるため、再調整する必要があります。オートメーション化の進展により、マシンビジョンシステムがさらに過酷な環境で使用できるようになるため、こうした問題はすべて性能の低下やレンズの使用不能につながる恐れがあります。例えば、オートメーション化された農業機械は、不整地を移動する際の衝撃や振動、水しぶきや空気中の湿気、天候の変化による温度差などに晒されます。

従来のマシンビジョンレンズは、過酷な環境下での衝撃や振動により内部の可動部品が移動し、性能が低下する可能性がある。また、ピント調整機構周辺のアッセンブリにも不要な汚染物質が侵入する可能性がある。
Figure 1: 従来のマシンビジョンレンズは、過酷な環境下での衝撃や振動により内部の可動部品が移動し、性能が低下する可能性がある。また、ピント調整機構周辺のアッセンブリにも不要な汚染物質が侵入する可能性がある。

産業用目的の耐久化: レンズを極力シンプルに

多くの場合、最もシンプルなソリューションが最適です。産業用目的の耐久化では、より軽量でスペースをとらない設計にするため、無駄が排除されたシンプルなレンズ機構を採用します。これによって、長期間稼働する機器やOEMアプリケーションへの組み込みにも理想的なものとなります。また、衝撃や振動を受けながらピントやFナンバーが変化することを防ぎ、可動する機械部品の数を減らすことも可能になります。そのため、産業用目的の耐久化が施されたレンズは、従来のレンズよりも費用対効果に優れています。また、可変絞りを固定絞り (Aperture Stop) に置き換え、かさばる両メスと両オスネジのピンと調整機構に代わり、単ネジ式ピント調整機構を採用しています。しかし、産業用目的に耐久化されたレンズは、従来のレンズよりも費用対効果が高く衝撃や振動から保護される反面、レンズのパラメーターを調整する自由度は低くなります。

産業用目的の耐久化では、レンズ機構の簡素化によって衝撃や振動によるピントやFナンバーの変化を防ぐ。メンテナンス不要が求められる産業用アプリケーションのイメージングレンズに最適。
Figure 2: 産業用目的の耐久化では、レンズ機構の簡素化によって衝撃や振動によるピントやFナンバーの変化を防ぐ。メンテナンス不要が求められる産業用アプリケーションのイメージングレンズに最適。

安定化目的の耐久化: 衝撃や振動からの最大限の保護

安定化目的の耐久化では、産業用目的の耐久化を基礎とした上に、衝撃や振動からレンズを保護するためのより多くの保護機能を備えます。光学的なポインティングの安定性を保つために、アッセンブリ内の個々のガラス素子はすべて接着されています。従来のレンズでは、衝撃や振動でレンズ素子の位置がずれ、画像が異なる画素上にシフトする可能性があります (Figure 3)。すべての素子を接着することで、この画素シフトを防ぎ、厳しい環境下でも性能を維持することができます。

標準のCシリーズイメージングレンズ
耐久化 Crシリーズレンズ
Figure 3: 従来のレンズで衝撃や振動により発生した画素シフト (左) と、安定化目的の耐久化レンズで向上したポインティング安定性 (右) の比較。

外来保護目的の耐久化: 防水アッセンブリ

外来保護目的の耐久化では、水や固形物の侵入を防ぐため、レンズを密閉します。従来のレンズの可動部は密閉部を損なう可能性があるため、Oリングを用いて産業用目的の耐久化を施したレンズを密閉します。エドモンド・オプティクスの外来保護目的の耐久化レンズは、国際電気標準会議 (IEC) の耐衝撃保護等級IPX7およびIPX9Kに適合した防水性能を備えています。このレンズと防水カメラ、照明 (必要に応じて) を組み合わせることで、イメージングシステム全体を保護することができます。

屋外で使用されるオートメーション機器は、水に晒されることが多い。外来保護目的の耐久化では、汚染物質がアッセンブリに侵入しないように、マシンビジョンシステムを密閉する。
Figure 4: 屋外で使用されるオートメーション機器は、水に晒されることが多い。外来保護目的の耐久化では、汚染物質がアッセンブリに侵入しないように、マシンビジョンシステムを密閉する。

アサーマル化による耐久化: 気温に関係なく低温を保つ

マシンビジョンレンズでは、ガラスレンズ素子と金属製ハウジングの熱による膨張・収縮が焦点シフトの原因となっています。この問題は、航空宇宙用途など、大きな温度変化に晒されるマシンビジョンシステムでは特に不利になります。レンズアセンブリのアサーマル化には、主に二つの方法があります。アクティブなアサーマル化とパッシブなアサーマル化です。アクティブなアサーマル化は、熱による焦点シフトを補正するために、フィードバックループとモーターを使ってハウジング内のレンズ素子の位置を物理的に調整します。一方、パッシブなアサーマル化は、巧みな機械設計と材料の選択により、素子をアクティブに調整することなく、温度が変化してもレンズ性能を仕様範囲内に保つことができます。パッシブなアサーマル化によるレンズ設計では、熱変化の影響を最小限に抑えるための措置がとられています。エドモンド・オプティクスのアサーマルレンズは、特殊で高価な硝種を用いることなく、-10℃から50℃までの温度に対してパッシブなアサーマル化が施されています(Figure 5)。これにより、不要なシステムのコストや複雑さを増加させることなく、広い範囲で温度を維持することができます。

屋外で使用されるオートメーション機器は、水に晒されることが多く、汚染物質がアッセンブリに侵入しないように、耐久化によってマシンビジョンシステムを密閉しています。
Figure 5: 上のアニメーションは温度変化により従来のレンズに生じる焦点シフトを示し、下のアニメーションはパッシブなアサーマル化が施されたレンズが、こうした温度変化にもかかわらず解像力の仕様内に収まっていることを示している。

エドモンド・オプティクスの関連製品

エドモンド・オプティクスは、自律走行システムをはじめとした過酷な環境下でのマシンビジョンアプリケーションを可能にする、上記すべてのタイプの耐久化レンズの設計と製造を行っています。衝撃や振動、浸水、温度変化などの環境試験を社内で実施し、実際の使用例を再現しています。お客様の用途に合わせた耐久化レンズの特注については、こちらまでお問い合わせください。

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Ci シリーズ 固定焦点レンズ

  • 最大2/3型までに対応したCマウントレンズ
  • 7.5 メガピクセル (2.8µmのピクセルサイズ) までに対応
  • C シリーズレンズを合理化して固定絞りを採用した組み込み (Instrumentation (Ci)) バージョン
  • 3.5mm から 50mm までの焦点距離
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HRi シリーズ 固定焦点レンズ

  • 2/3型対応 Cマウントレンズ
  • 9 メガピクセル (1.85µmのピクセルサイズ) までに対応
  • HR シリーズレンズを合理化して固定絞りを採用した組み込み (Instrumentation (HRi)) バージョン
  • 8.5mm から 12mm までの焦点距離
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HPi シリーズ 固定焦点レンズ

  • 1.1型対応 Cマウントレンズ
  • 20 メガピクセル (1.85µmのピクセルサイズ) までに対応
  • HP シリーズレンズを合理化して固定絞りを採用した組み込み (Instrumentation (HPi)) バージョン
  • 16mm から 50mm までの焦点距離
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Cr シリーズ 固定焦点レンズ

  • 最大2/3型までに対応した Cマウントレンズ
  • 7.5 メガピクセル (2.8µmのピクセルサイズ) までに対応
  • C シリーズレンズを50G対応にした耐久化 (Ruggedized (Cr)) バージョン
  • 3.5mm から 50mm までの焦点距離
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HRr シリーズ 固定焦点レンズ

  • 2/3型対応 Cマウントレンズ
  • 9 メガピクセル (1.85µmのピクセルサイズ) までに対応
  • HR シリーズ レンズの個々の構成レンズ素子を所定の位置に接着固定した50G対応、耐久化 (Ruggedized (HRr)) デザイン
  • 8.5mm から 12mm までの焦点距離
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HPr シリーズ 固定焦点レンズ

  • 1.1型対応 Cマウントレンズ
  • 20 メガピクセル (1.85µmのピクセルサイズ) までに対応
  • HP シリーズレンズの個々の構成レンズ素子を所定の位置に接着固定した50G対応、耐久化 (Ruggedized (HPr)) デザイン
  • 16mm から 50mm の焦点距離
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耐久化ブルーシリーズ M12 マウントレンズ

  • 最大1/2型までに対応したSマウントレンズ
  • 5 メガピクセル (1.4µmのピクセルサイズ) までに対応
  • 個々の構成レンズを所定の位置に接着固定した50G対応耐久化レンズ
  • 2mm から 25mm までの焦点距離
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Cw シリーズ 固定焦点レンズ

  • 最大2/3型までに対応した Cマウントレンズ
  • C シリーズ レンズの Waterproof 防水 (Cw) バージョン
  • IPX7 と IPX9K の IEC保護等級に適合
  • 保護用レンズカバーの必要性を排除するようデザイン
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HEO シリーズ M12マウントレンズ

  • 最大 1/2型までに対応した Sマウントレンズ
  • 1.2 メガピクセル (5µmのピクセルサイズ) までに対応
  • 耐環境オプティクス (HEO®) 採用の防水レンズ
  • 2.2mm から 8mm の焦点距離

Advanced Illumination UltraSeal 防水型バーライト

  • 極度の洗浄環境に対応する IP69K認証
  • 腐食や過熱を防ぐ独自のハウジング
  • 70,200ルクスまでの高輝度出力
  • 防水スポットライトもラインナップ

LUCID Atlas™ IP67 5GigE カメラ

  • 水の侵入, 塵, 埃から保護するIP67等級
  • 5Gbase-T (5GigE) イーサネットインターフェース
  • PoE (Power over Ethernet) 対応で統合を簡略化
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アサーマル イメージングレンズ

FAQ

FAQ (よくある質問)  標準品の耐久化レンズとは異なる仕様が必要なアプリケーションの場合、特注製品を注文することはできる?

はい。エドモンド・オプティクスは、お客様の試作をサポートし、アプリケーションに必要なレンズをお届けするために、経験豊富な光学/機械設計者、そして世界クラスの製造対応力を擁しています。詳細は、当社の技術サポートまでお問い合わせください。

FAQ (よくある質問)  現在、エドモンド・オプティクスの別のイメージングレンズを使用しているが、そのレンズに耐久化を施すことはできる?

レンズの耐久化はもちろん、ハウジングの改造、作動距離の調整、フィルターや液体レンズの組み込み、絞りの交換など、さまざまな二次加工を行うことが可能です。詳細は、当社の技術サポートまでお問い合わせください。

FAQ (よくある質問)  耐久化レンズのZemaxの設計データファイルは入手可能?

はい。データ申請フォームからリクエストを送信していただければ、技術サポートエンジニアからご連絡いたします。

技術資料

アプリケーションノート

理論説明や公式、図解などを網羅した技術情報やアプリケーション実例の紹介です。

イメージングレンズの高耐久化
読む  

動画

簡単なヒントからアプリケーションベースの製品デモに至るまで、企業や製品に関する動画情報です。なお音声は英語で、一部の動画コンテンツには日本語字幕が選択できます。

耐久化イメージングレンズ
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ウェビナー

オプティクスやイメージングの広範なテーマに関する、エドモンド・オプティクスの専門スタッフによる録画ウェビナーです。

Stabilized Ruggedization Webinar Recording
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技術文献

詳細なテクニカルペーパーをダウンロードできます。

Ingress Protection Ruggedization Whitepaper
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Testing Waterproof Imaging Lenses Whitepaper
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Ruggedized Lens Metrology Whitepaper
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