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コネクテッドワールドを実現する高速かつ安全なワイヤレス通信

 

レーザーを用いて空中で情報を無線通信

 

ラジオ波ベースの無線通信に比べてはるかに広い帯域を確保

 

地方や災害現場にも届く高速で安価なインターネットが可能

 

防衛アプリケーションに対して高度に安全な通信が可能

高速グローバル通信は、コネクテッドワールド (つながる世界) を向上させていくのに大変重要です。世界銀行は、ブロードバンドインターネット接続が贅沢品ではなく、経済と人類の発展のための基本的必需品であると宣言しています。1 ブロードバンドインターネット接続は、教育、雇用、ヘルスケアへのアクセス、政府の透明性や説明責任など、他の方法では失われる可能性のある機会を切り開くものです。レーザーを用いたフリースペース光 (FSO) 通信には、衛星から望遠鏡のような地上の基地局への伝送、衛星から別の衛星への伝送、地上の異なる場所間の伝送等が含まれます (Figure 1)。Global Market Insights 社によると、FSO市場は今後5年間、毎年35%超の割合で成長し、現在の2億ドルから 2027年までには20億ドルに急拡大する可能性が高いと見られています。2 FSOは、光ファイバーが通っていない地域でも高速インターネット接続が行えることに加え、防衛アプリケーション向けの傍受困難な高セキュリティ通信を実現します。

フリースペース光通信の一般的なプロセス。
Figure 1: フリースペース光通信の一般的なプロセス。

高速インターネット:現代の基本的な必需品

世界銀行は、先進国では人口の80%がブロードバンドによる高速インターネット接続を利用していますが、途上国では人口の35%しかブロードバンド接続を利用していないと推定しています。1 ここでいう「ブロードバンド」とは、ダイヤルアップよりも高速なインターネットと定義しています。FSO通信は、ブロードバンドインターネット接続が可能なグループはもちろん、そうでないグループにとっても、より良い無線通信を実現する可能性を持っています。光通信は、電波(RF)を使用する無線通信と比較して10~100倍の帯域幅を得ることができ、入力電力も少なくて済みます。3 FSO信号を受信するための地上無線局の設置にかかる費用も、人件費や掘削費を考慮すると新規に光ファイバー接続を導入するよりも大幅に低くなります。また、地上のある場所から別の場所への通信にも、光ファイバーケーブルの敷設よりもFSO通信を用いるほうが安価になるケースがあります。

現在入手可能な商用FSOネットワークは、100Mbpsから10Gbpsのデータ転送速度ですが、ハイエンドのプロトタイプでは160Gbpsの通信速度が報告されています。4 FSOを利用した高速通信を実現するために、様々な企業が人工衛星のネットワークを構築しています (Figure 2)。FSO通信は、グローバルなブロードバンドワイヤレス接続を実現するための実用的なソリューションです。5

地上受信機との高速なフリースペース光通信を実現するために、すでに人工衛星のネットワークが配備されている。
Figure 2: 地上受信機との高速なフリースペース光通信を実現するために、すでに人工衛星のネットワークが配備されている。

防衛向けの安全なFSO通信

FSO通信は、RFや他の無線通信に比べてセキュリティレベルが高いため、防衛用途に非常に有利です。FSOレーザー通信は暗号化が可能で、不可視または狭帯域でRFメーターやスペクトラムアナライザーを使用しても解読することができません。また、傍受が困難な視線経路に沿って伝搬し、情報を収集するためには一致するFSO受信機が必要となります。4 FSO通信用の受信機は、使いやすい携帯機器として設計可能で、防衛アプリケーションの現場に容易に配備することができます。これにより、人命救助のための高速、高帯域、かつ安全な通信が可能になります。

FSOに用いられる光学部品の条件

FSO信号を受信するために設計される光学系は、大気吸収、分散、送受信距離の長さ、シンチレーションなどにより、送信信号と受信信号の比率が非常に大きくなるため、高感度である必要があります (Figure 3)。シンチレーションとは、光が伝搬する大気の構造により、受信信号が急激に変化することを指します。6

天気波長、λ距離Lにおける減衰量 (dB)
1 km10 km100 km
条件 microns      
快晴 (海面) 0.53, 1.06 0.06 0.6 6
10.6 0.54 5.4 54
C02吸収 0.53, 1.06 - - -
10.6 0.25 2.5 25

(密度: 0.1 mg/m3)
0.53, 1.06 1.4 14 140
10.6 0.66 6.6 66
薄い霧
(サイズ: 0.5-10μ; 密度: 0.5 mg/m3;可視性: 2 km)
0.53, 1.06 0.1-5 1-50 10-500
10.6 9 9 90


(サイズ: 0.5-10μ; 密度: 1 mg/m3;可視性: ~0.5 km)
0.53, 1.06 0.2-10 2-100 20-1000
10.6 1.9 19 190
雨 5mm/hr 0.53, 1.06 1.6 16 160
雨 25mm/hr 0.53, 1.06 4.2 42 420
雨 75mm/hr 0.53, 1.06 0.7 7 70
小雨 (サイズ: 1000μ、密度: 50 mg/m3) 10.6 1.6 16 160
小雪 0.53, 1.06 1.9 19 190
大雪 0.53, 1.06 6.9 69 690
Figure 3: 霧や雨など天候の違いによるFSO通信の減衰を示した表。7

FSOに使用される光学系のポインティング精度や安定性も重要です。レーザー通信に特有の狭いビーム発散角 (RF信号の約10分の1) により、FSOでは従来のRF通信と比較してポインティング精度がより重要となります。8 ポインティング精度の要件は、通常、数百 µrad オーダーであるため、追加のジンバルや他のステアリング機構が必要になる場合があります。9 オプトメカニカルアッセンブリの設計において機械的公差を厳しくすることで、内部のレンズ素子の動きを抑制し、ポインティング精度を向上させることができます。アッセンブリ内のレンズ素子の不要な動きは、回転、位置ずれ、および1つの素子から別の素子へのこうした作用の組み合わせによって説明することができます (Figure 4)。詳細は、 Tips for Designing Manufacturable Lenses and Assemblies Application Noteをご覧ください。FSOシステムで使用されるアルゴリズムは、微弱で幅の狭い信号を探し出し、受信する感度を上げるために慎重に調整されています。

A. 単レンズの回転移動、B. 組レンズの回転移動、C. 単レンズの偏心、D. 組レンズの偏心。
Figure 4: A. 単レンズの回転移動、B. 組レンズの回転移動、C. 単レンズの偏心、D. 組レンズの偏心。

参考文献

  1. The World Bank. (2019). Connecting for Inclusion: Broadband Access for All. World Bank. https://www.worldbank.org/en/topic/digitaldevelopment/brief/connecting-for-inclusion-broadband-access-for-all .
  2. Global Market Insights. (November 2021). Free Space Optics (FSO) Communication Market Size By Platform (Terrestrial, Satellite, Airborne), By Application (Mobile Backhaul, Enterprise Connectivity, Disaster Recovery, Defense, Satellite), COVID-19 Impact Analysis, Regional Outlook, Growth Potential, Competitive Market Share & Forecast, 2021 – 2027. Global Market Insights. https://www.gminsights.com/industry-analysis/free-space-optics-fso-communication-market .
  3. NASA. (2021). Laser Communications Relay Demonstration (LCRD). Space Technology Mission Directorate. https://www.nasa.gov/mission_pages/tdm/lcrd/index.html .
  4. fSONA. (2003). FSO Guide. fSONA Optical Wireless. http://www.fsona.com/technology.php?sec=fso_guide.
  5. Majumdar, A. (October 2019). Optical Wireless Communications for Broadband Global Internet Connectivity (1st ed.). Elsevier.
  6. National Oceanic and Atmospheric Administration. (2022). Satellite Communications. Space Weather Prediction Center. https://www.swpc.noaa.gov/impacts/satellite-communications.
  7. Raible, D. E. (2011). Free Space Optical Communications with High Intensity Laser Power Beaming. ETD Archive.. https://engagedscholarship.csuohio.edu/etdarchive/251.
  8. Kaushal, H. and Kaddoum, G. (2015). Free Space Optical Communication: Challenges and Mitigation Techniques. IEEE Communications Surveys & Tutorials, 19(1), 57 - 96. DOI: 10.1109/COMST.2016.2603518.
  9. Hall, S. (May 2020). A Survey of Free Space Optical Communications in Satellites. Georgia Institute of Technology. https://www.ssdl.gatech.edu/sites/default/files/ssdl-files/papers/mastersProjects/Hall_Stephen_8900.pdf.
  10. CableFree (2022). Free Space Optics (FSO). CableFree 10+ Gigabit Wireless Networks. https://www.cablefree.net/cablefree-free-space-optics-fso/.

FAQ (よくある質問)

FAQ (よくある質問)  空気中の霧や水蒸気などの障害物が、フリースペース光 (FSO) 通信を妨害する?
はい。FSO通信は一般に雨や小雪の影響を受けませんが、霧や水蒸気はFSO通信を妨害することがあります。レーザー光は空気中の小さな水滴に吸収・散乱され、帯域幅が低下したり、信号が遮断されたりすることがあります。そのため、FSOは霧の多い地域では最適な通信ソリューションとは言えない場合があります。10
FAQ (よくある質問)  エドモンド・オプティクスはFSOシステムを製造している?

いいえ。しかし、エドモンド・オプティクスは、FSOシステムに使用される類の光学部品を製造しています。

技術資料

アプリケーションノート

理論説明や公式、図解などを網羅した技術情報やアプリケーション実例の紹介です。

ビーム品質とストレール比
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ガウシアンビームの伝搬
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ダイヤモンド切削した非軸放物面ミラーの面粗さ
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Ultrafast Dispersion
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Key Parameters of a Laser System
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動画

簡単なヒントからアプリケーションベースの製品デモに至るまで、企業や製品に関する動画情報です。なお音声は英語で、一部の動画コンテンツには日本語字幕が選択できます。

Introduction to Laser Optics Lab 
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エドモンド・オプティクスの計測:製造の主要な要素としての測定 
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シングルポイントダイヤモンドターニング:ご提供いただく仕様・図面に沿った製造
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Free-Space Optical Communication – TRENDING IN OPTICS: EPISODE 6 
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