by Randall Hinton
未来は、回復を支援する人工呼吸器モニタリング中の動脈血検査から、迅速で正確なフィードバックが得られるかどうかにかかっています。
医療スタッフは、人工呼吸器が患者の肺に送り込んだり吐き出させたりする空気の量、種類、速度、力、そして合併症の発生などを慎重に測定しています。例えば、血液中の酸素が過剰な状態が長く続くと、肺に悪影響が出ることがあります。また、血液中の酸が多すぎる場合は、腎不全、重度の感染症、特定の毒物の摂取、糖尿病性ケトアシドーシス (DKA)、治療が不十分な睡眠時無呼吸症候群などが疑われます。これらを防ぐためには、動脈血ガス濃度を定期的に測定することが必要です。
血液サンプルは、一般に、患者の手首、鼠径部の動脈、または肘から上の腕の内側から採取されます。8 その後、サンプルは血液ガス分析装置にセットされます。血液ガス分析装置は、血液中の酸素 (O2)、二酸化炭素 (CO2) の量と酸性度 (pH) を測定する装置です。また、乳酸、グルコース、ヘモグロビン、クレアチニン、電解質など他のパラメータの濃度も測定することができます。2 血液ガス分析装置を製造する著名な企業の例としては、Siemens Healthineers社、Instrumentation Laboratory社、Radiometer社、Roche Diagnostics社、Nova Biomedical社などがあります。7
二酸化炭素、酸素、pH、ヘモグロビン値は、動脈血ガスモニタリングの重要なパラメータです。以下に、これらのパラメータを測光的に決定する方法をいくつか例示します。
Figure 1は、血液サンプルから CO2を光度測定するための光学系を示したものです。熱源からの放射光は、凹面ミラーによって反射し、スリットを通過して第2の凹面ミラーに向かいます。放射光は、第2凹面ミラーから4200~4300nmの赤外波長に最適化された回折格子に反射されます。回折格子が回転することで、このスペクトル内で回折波長を変化させることができます。その後、放射光は凹面ミラーへと戻り、3500nmのロングパスフィルターを通過し、測定チャンバーを透過し、焦電ディテクターに導かれます。このディテクターは回転する回折格子と同期し、4210nm、4260nm、4310nmの放射強度に比例した信号を発信します。これらの波長の吸収の量がサンプル内のCO2 の量の基準値となります。3 肺ガス交換、すなわち外呼吸により、動脈血の二酸化炭素は減少していなければなりません。4
Figure 2は、血液中の酸素量を測定するために用いられる光学系です。緑色ダイオードからの光は、580nmのショートパスフィルターを通して透過します。放射光はショートパスフィルターから580nmのダイクロイックフィルターへと透過し、緑色ダイオードの光をフォーカスレンズに反射させます。その後、緑色光を試料に集光し、酸素感受性の色素と相互作用させます。5 励起された発光団は、緑色の入射光よりも波長の長い光子を放出します。この励起された光子は、試料容器からレンズ、ダイクロイックフィルター、665nmのロングパスカラーフィルターを経て、シリコンフォトダイオードに照射されます。ディテクターでの信号強度は酸素濃度の算出に用いられます。酸素濃度は、肺胞を出入りする空気の動き、肺毛細血管を流れる血流、酸素運搬タンパク質であるヘモグロビンによって決まります。4
Figure 3は、pHの光度測定のための光学系の断面図です。ハロゲンランプから出た放射線は、SCHOTT KG ガラス 熱吸収フィルターなどの熱吸収フィルターを透過します。その後、放射線は血液サンプルと相互作用し、最終的にレンズによって集光され、いくつかのバンドパスフィルターを通過してシリコンフォトダイオードへと向かいます。フォトダイオードは、458nm、589nm、750nmの放射強度を表す電流信号を出力します。これらの放射線強度から、試料のpH値を算出することができます。3 血液pHは、血液中の化学的バッファー (主に重炭酸塩)、赤血球、および3つの臓器 (腎臓、肺、脳幹) の機能との相互作用を知ることができます。4
酸素は血液に溶けにくいため、体内では酸素運搬タンパク質であるヘモグロビンに頼って組織細胞に酸素を運搬しています。CO-オキシメーター (酸素濃度系) と呼ばれる光学系は、血液を通過する光の吸収をわずか2~3波長の光から数十波長の光まで測定します。これは、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビン (以前は「還元」ヘモグロビンと呼ばれていた) を区別し、オキシヘモグロビン飽和度、すなわち利用できるヘモグロビン (Hb) の総量に対する酸化ヘモグロビンの割合を決定するために行われます。より多くの波長を測定することで、カルボキシヘモグロビン (COHb)、メトヘモグロビン (metHb)、他のヘモグロビン部位、および「バックグラウンド」の光吸収種を区別することができます。
Figure 4はCO-オキシメーターの一例です。ハロゲンランプからの放射線は、熱吸収フィルターを通して測定チャンバーへと伝播します。試料を透過した光はダイクロイックフィルターで集光され、その後、600nmまたは506nmのバンドパスフィルターに分割されます。結果的に得られる強度は、シリコンフォトダイオードで検出され、総ヘモグロビン量 (Hbtot) と酸素飽和度の計算に使用されます。この計算はランバート・ベールの法則の法則とHbとHbO2の消衰係数の所定値に基づいています。3
以下はCO-オキシメーターのもう1つの例です。赤血球に超音波振動を与え、これによって細胞壁を破壊し、ヘモグロビンを放出させます。フローセル内のヘモグロビンに可視光を照射し、グレーティングミラーとフォトダイオードアレイを用いて吸光スペクトル (478-672nm) を観測します。この吸光スペクトルからビリルビン濃度を計算し、新生児黄疸などのスクリーニングに使用することができます。6
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