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SpectralMD™

ITOS Trutzschler

ケーススタディ:
Trützschler と ITOS - よりクリーンな木綿生産の鍵を握る「偏光」

Trützschler は、廃棄物を減らし環境への負担を軽減するために、木綿の加工工程を効率化し、よりクリーンな製品の供給と不合格品の低減を実現している。その過程で「偏光」はどのように利用されているのか?

すべての繊維から
最大限の製品を

黒いシャツを着ているのに、突然異なる色の繊維が1本混ざっている様を想像してみてください。これは、そのシャツに用いた木綿の品質が低く、実際には木綿ではない繊維が最終製品に混入する経路が存在することを示す典型的な指標です。木綿を扱うすべての業種は、異素材の繊維が自分たちの製品に混入することを防がなくてはなりません。

そうした事態を防ぐことは、ドイツの Trützschler の専門分野です。同族経営で現在5代目の Trützschler は、1888年以来、紡績準備工程に関するマシンサプライヤーです。メンヒェングラートバッハに拠点を置くこの企業は、この市場セグメントでは世界的なリーダーです。彼らの目標は、原材料が天然繊維か合成繊維か、そしてその加工方法がどのようなものであるのかにかかわらず、すべての繊維から最高の糸を作ることです。異物を特定し取り除く作業は、光学システムに大きく依存します。そして、過酷な状態が続く中でも可視性を最大化する高性能な偏光板をTrützschler に供給したのは、エドモンド・オプティクスの一部門である ITOS でした。 

 Trützschler developed the T-SCAN Camera (4-CCD), which makes observations from 4 different canals while utilizing ITOS polarization filters at key positions to make contaminants detectable
Figure 1: Trützschler は、4経路から観察可能で、主要な位置にITOS 製の偏光フィルターを用いることで混入物を検出できる T-SCAN Camera (4-CCD) を開発した

偏光板を用いて木綿から異物を取り除く方法

1999、Trützschler は木綿の中の異物を検出し、選別する方法の開発を開始しました。当初は、比較的検出が容易な色付きの異物に焦点が置かれました。その後、最終製品の品質をさらに向上させるためにTrützschler はその取り組みを拡大し、木綿に色が似ていることが多く検出が難しい半透明の異物の検出と選別の研究を開始しました(Figure 2)。Trützschler は、彼らの顧客に利益をもたらすイノベーションを目指し、業界の有力展示会である ITMA 2007 でそうした異物検出のためのブレークスルーを実現したシステムを展示することができました。この画期的な開発は、偏光フィルターと内製の 3CCD カメラとの組み合わせでしか実現できないものでした。このシステムの開発がきっかけで ITOS と出会い、さらなる協力関係へと発展したのです。

SpectralMD’s wound imaging system in use
Figure 2: この木綿のワタの写真には、異素材の半透明の小片が混在しており、木綿繊維との区別が難しくなっている

Trützschler の「異物選別機」は、木綿のワタをスキャンして不要な異物を検出・抽出する特殊な装置です。木綿のワタは、木綿洗浄機から「カード」まで、長方形のチャンネル内を毎秒約10~12mの速さでエアフローによって搬送されます。カードとは、この後に続く工程用に繊維を準備するための特殊機械です。すべての異物を検出するために、いくつかの異なる検出技術と照明設定が組み合わされています。この工程のこの段階では、色検出のために異なるカメラが用いられます。UV光によって蛍光汚染物質の特定が可能で、高性能LEDユニットによってサイズが僅か数画素の異物を検出することができます。偏光フィルターは、木綿のベール梱包用資材の半透明の紐やフィルムなど、混入物として残ることが多い異物の可視化にとって重要です。また、これによってカラーカメラによる検出が可能になります。 

課題

Trützschler が偏光フィルターの利用を検討した際、非常にラフな環境にも耐えられる光学部品を探さなくてはならないという課題に直面しました。紡績工場という厳しい環境では、光学部品はすぐに汚れてしまい、容易にキズや損傷を受けてしまいます。高温・高湿も偏光フィルターの劣化を早めることになります。更に、異物選別機はオペレーターが操作・点検を行う必要がありますが、彼らは往々にして光学部品や光学システムの扱いには慣れていませんでした。 

解決法

ITOS は偏光板のカスタマイズが専門で、保護ガラスの間に偏光フィルターを接着する加工方法を開発していました。これは、一見シンプルな加工に聞こえるかもしれませんが、実際に木綿の検査に必要な大きなサイズと高い温度勾配を考慮すると非常に大変なことです。偏光板は、既定の偏光状態の検知と生成に用いられ、この機能によって異物や特定の状態 (例えば擦痕など) が可視化され、検出できるようになりました。ITOS のCP42N 偏光板は、高性能かつコスト効果の高い製品で、通常では見えないものを検出することができます。それによって、ITOS は Trützschler が直面していた多くの課題を解決することができました (Figure 3)。CP42N 偏光板は、自動車業界において高い頻度で採用されている製品で、現在は ITOS から標準品として販売されています。  

By using ITOS polarizers, the hard-to-detect foreign transparent and semi-transparent parts in cotton (left) become visible and detectable by using polarized light (right)
Figure 3: ITOS の偏光板を使用することによって、木綿に混入した異素材の透明もしくは半透明の異物 (左) が偏光を利用して可視化され、検出可能になる (右)

パートナーシップ

「私たち Trützschler は、ITOS とその素晴しいスタッフと仕事ができることに非常に満足しています。とてもオープンな関係を保つことで、長年にわたって前向きなパートナーシップを築くことができています。ITOS は常に特殊な市場ニーズに配慮し、最終的に Trützschler のシステムの改善につながるアイデアを積極的に提供してくれます。」 そう語るのは、ITOS と10年以上にわたって仕事をしているTrützschler の製品開発担当、Guido Engels です (Figure 4)。

Illumination module containing ITOS polarizers, part of the separator, being operated by Guido Engels, Product developer at Trützschler
Figure 4: セパレーターの一部として ITOS 製偏光板を実装した照明モジュールを操作する Trützschler の製品開発担当 Guido Engels

最適なパートナーを選ぶにあたってTrützschler が評価したのは、継続的な製品開発と優れた供給能力、そして20年にも及ぶ製品寿命に付随する信頼性という要素でした。優れた顧客サービスとソリューションを提供するという強い意志、そして常に Trützschler の品質要求に合致もしくはそれを上回る製品を供給し続けてきたという事実によって、Trützschler と ITOS のパートナーシップは高い成果を上げることができています。ITOS のマネージング・ディレクターである Horst Grode も、「Trützschler から厳しい環境に耐えるフィルターが欲しいというリクエストを受けた時点では、それは私たちにとって難題であり、既存の製品ラインナップではその要求を満たすことができませんでした。しかし、長年の経験と専門知識を応用し、更に研究を重ねることによって、彼らの要求を満たす新しい製品を開発することができました。Trützschler のような世界をリードする企業とパートナーであることは私たちの誇りであり、彼らの成功をサポートできることを光栄に思います。オープンな関係を築けていることにも感謝します。それによって、新しい製品の開発に早い段階で取り掛かることができています」と語る。 

企業紹介

ITOS は 2006年から光学フィルターガラスと偏光製品の優れたサプライヤーであり続けてきました。ITOS は、顧客の真の要求を満たす技術サポートの提供、ソリューションの開発、部品の供給を行っています。2018年、ITOS はエドモンド・オプティクスの一部門となり、現在はドイツからエドモンド・オプティクスの光学フィルターガラスと偏光製品における特注サービスを担っています。エドモンド・オプティクスは、世界中のライフサイエンス、生物医学、半導体、R&D、安全&セキュリティ市場に向けてオプティクス、イメージング、フォトニクス技術を提供する世界的サプライヤーです。マルチエレメントレンズ、レンズコーティング、イメージングシステム、オプトメカニクス機器など幅広い製品の設計や製造に加え、在庫販売品および特注品の大量生産でOEMアプリケーションもサポートしています。また、最先端の製造対応力とグローバルな流通ネットワークによって、光学製品の在庫販売では世界大手としてのポジションを確立しています。

Trützschler では、すべてが繊維を中心に展開しています。世界5箇所の製造拠点に3,000名を超える従業員が勤務し、紡糸、不織布、人口繊維、針布 (Card Clothing) の4つの製品カテゴリーで全ての繊維から最高の製品を作り出しています。Trützschler の機械は、紡糸工場内で実際の紡糸工程に向けて繊維を準備するためのものです。木綿などの天然繊維を準備する場合、偏光板を用いた機械式のクリーニング工程でそれ以外の植物や異物は全て取り除かれます。繊維準備ラインには、均質化と除塵工程も含まれています。繊維は、小さなワタの状態で「カード」に送られます。このカードによって、繊維組織が平行に並んだ親指ほどの太さの束が形成されます。その後、カードでは最終的に糸を作るための基礎原料が形成されます。現在、紡糸工場の90%はアジア - 主に木綿の生育地である中国、インド、パキスタン、ウズベキスタンに位置しています。  

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