超薄型フィルターとは?
ピンセットで少し強めにつまんだ時のフィルターの様子
超薄型フィルターは、超薄型でフレキシブルなポリマーと染料から作られ、凹面や凸面状の表面にも形状を合わせて曲げることができます。本フィルターは、傷がつきにくく、産業用のハードコーティングと同等の耐久性を有します。数百から数千ものポリマー層と染色基板層で構成される本フィルターは、可視や近赤外スペクトルにわたる波長選択性を提供します。その低コストで軽量、かつ薄くてフレキシブルな特徴から、大量消費アプリケーションに理想的なフィルターです。
超薄型フィルターの製造工程は、光ファイバーの製造工程と樹脂フィルムの押し出し加工の特徴を組み合わせ、厚さと屈折率を正確に制御しています。これは、レーザー損傷や熱ドリフト、また狭い動作温度範囲での使用が問題とならない大量消費市場向けに対して、複雑な多層膜構成の干渉フィルターを手頃な価格で供給していくために必要なことです。本フィルターの適用が可能なアプリケーションに、レーザー多光子顕微鏡、天文学、蛍光装置、フローサイトメトリ、バイオメディカルレーザーシステムがあります。
超薄型フィルターにはデメリットがいくつかあります。多くは、ポリマー基板に起因するものです。使用上限温度に制限があり、ポリマー層構造への損傷を避けるためにも室温30℃内での使用に留めなければなりません。この理由により、超薄型フィルターをレーザーシステムに使用することは推奨しません。レーザーを用いることで、フィルターの光学面に多量の熱が発生するからです。また干渉フィルターと同じ構造から、得られる光学特性に入射角度依存性があります。超薄型バンドパスフィルターに0° (垂直入射) から45°まで、4つの異なる角度で入射した時の特性をFigure 1に紹介します。また、超薄型フィルターは、より頑丈なガラス基板のフィルターに比べると透過波面精度は若干劣ります。頑丈な構造かそうでないかの違いは、波面精度に影響を与えます。
超薄型フィルターの最も明確なメリットは、曲げることができ、平面や曲面形状の両方にフィットさせることができる点です。鋏やカッターを用いて容易に裁断でき、大量使用の際にはレーザーカッティング装置の使用でそれが行えます。超薄型のデザインは、光路長を最小化し、フィルター固定の際に独立した固定治具を用意する必要性を排除します。ガラス基板のように砕けることがないオールプラスティックデザインを採用する本フィルターは、下は100µm厚以下のとてもフレキシブルなものから、おおよそ500µm厚のよりしっかりとしたものまで、異なる厚さで作ることができます。
特徴:
- フレキシブル材料
- 350 ~ 1600nm のスペクトル領域に対応
- ノッチ、エッジ、及びバンドパスのフィルターデザインに対応
- マルチノッチやマルチバンドパスデザインにも対応
- 傷がつきにくい
- OD 2 デザイン (OD 4 のブロッキング性能も検討可能)
- 90% 以上の透過率にも対応
- 超薄型デザイン (200-500µm の厚さ)
Figure 1: フィルター反射率の入射角シフトによる影響
伝統的フィルター | ハードコートフィルター | 超薄型ロングパスフィルター | |
---|---|---|---|
基板材料: | ガラス、金属、プラスティックの積層 | ガラスの一枚基板 | 超薄ポリマーの積層 |
透過率 (可視域のみ): | 約75% | >90% | >90% |
有効径: | >80% | >80% | >90% |
厚さ: | 5mm | >1mm | 200 - 500µm |
ブロッキング性能 (OD値): | >OD 4 (平均) | >OD 6 (絶対) | >OD 4 (平均) |
対温度安定性: | 中 | 高 | 中 |
カットオンスティープネス: | >3% | <1% | 2% |
カットオン公差: | >3% | <1% | 2% |
価格: | ¥¥ | ¥¥¥ | ¥ |
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