設計 vs. 製造
本ページはイメージングリソースガイドのセクション3.6です
名目 vs. 実際
「このレンズはどんな性能なの?」 - 一見シンプルな質問に思えますが、実は難解です。マシンビジョン用レンズの場合、使用する波長や物体への作動距離、レンズのFナンバー、センサーサイズといったいくつかのパラメータをまず決めなければなりません。こうしたパラメータは、これまでのセクションで解説してきました。次に、この質問を更に明確にする必要があります: 「組み立てられた実際のレンズは名目と比較してどうなの?」
名目
名目上の仕様は、レンズが当初設計した通りに完全に組み立てられた場合の性能です。ZemaxやCode V等の光線追跡ソフトウェアにライブラリとして収録されているレンズを選ぶことで、あらゆるシナリオにおけるレンズ性能を予見することができ、データを引き出すことができます。但しこのシミュレーションは、設計した通りに完全に組み立てられた場合の性能を前提としているため、常にベストな予見になるとは限りません。現実世界のレンズ製品は、公差範囲内の様々な誤差を含んでいるからです。
実際
一方、実際の性能は、現実にある製造公差を元にレンズの性能を統計学的に予見しています。実際の性能は予見が難しく、各レンズ素子の形状や絶対位置、使用する硝材の屈折率やアッベ数といった、レンズ性能に影響を及ぼす数多くのパラメータを入力しなければなりません。典型的な公差ファイル、即ち設定可能なパラメータ全てをモデル化して使い分けられるコードは、Zemaxシミュレーションには100~200点レベル、Code Vシミュレーションには200~400点レベルあり、レンズ素子枚数や各素子の固定方法に依存して大きく変わります。
実際の性能のモデル化用に単純化されたコードは、公差レンジを元に全てのパラメータをランダムに変えられ、どれだけの完成品が適切に作動するかを統計学的に評価します。特定の空間周波数やフィールドポイントでのMTFを始めとする2~3の特定パラメータで評価され、そこから性能要求を満足するレンズの確率を決定します。
レンズの光学設計データの情報を見ることで、MTFやディストーション、スポットサイズといった評価基準を元にして、どのような設定条件でも名目上の性能を容易に予見することができます。その予見の正確性を、公差を含む実際の性能として表わすことはできませんが、特定使用環境に対して近似値となるため、便利な相対ツールとなります。
製造性やレンズ設計に関して更に読みたい場合はこちらをご覧ください:Tips for Designing Manufacturable Lenses and Assemblies
もしくは 現地オフィス一覧をご覧ください
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